浜中町への移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説

この記事では、地方移住を検討している人に向けて、北海道厚岸郡(あっけしぐん)にある浜中町の暮らしを紹介します。

浜中町は豊かな自然に恵まれ、酪農と漁業がさかんです。広大な湿原や霧が立ち上る神秘的な光景、野生のラッコを始めとした多様な生物など、浜中町でしか見られないさまざまな風景を楽しむことができます。

そんな浜中町の魅力や、暮らしの情報、移住支援制度などを詳しく解説していきます。

本日お話を伺った方
浜中町公式ゆるキャラ「きりたん」

浜中町役場
企画財政課 企画調整係 主事

澤山 陸斗さん

浜中町の暮らし、3つの特徴

浜中町の暮らしの特徴

浜中町は北海道の東部、釧路振興局管内の最東端に位置しています。東南は太平洋に面しており、多くの湾と島を有しているのが特徴です。

太平洋を望む湾に突き出た岬や、『花の湿原』とも呼ばれる霧多布(きりたっぷ)湿原、ラッコを始めとする野生動物など、浜中町は豊かな自然が織りなす魅力にあふれています。そして新規就農者の受け入れをしてきた文化から、移住者を暖かく迎え入れる空気があるのもポイント。自然と調和した暮らしの中で、人とのつながりを感じながら生活することができます。

そんな浜中町への移住をおすすめしたいのは、次のような方です。

  • 日常生活の中で自然を感じながら暮らしたい
  • その土地でしか味わえないおいしいグルメを楽しみたい
  • 農業や漁業など、一次産業に興味がある
  • 移住はしたいが、移住した先で溶け込めるかどうか不安を感じる

上記のような方になぜ浜中町での暮らしをおすすめしたいのか、その理由を3つの特徴から説明します。

特徴1:豊かな自然の中で、ユニークな“出会い”がたくさん!

北海道浜中町の霧多布湿原朝の風景
▲霧多布湿原の朝の風景

まちのどこに行っても美しい景色に出会うことができる浜中町。中でも霧多布湿原という、東京ドーム600個相当の広大な湿原は注目です。

別名「花の湿原」とも呼ばれるこの湿原は、時間によっても、季節によってもその姿を変化させます。霧多布湿原は観光資源としてはもちろん、住民にとっても身近な存在で、散策を楽しむ人も多いそう。湿原の中に通る片道500mの琵琶瀬木道をゆったりと歩きながら、自然の恵みを贅沢に感じられるスポットです。

北海道浜中町の霧多布湿原夏の風景
▲夏の霧多布湿原

北海道浜中町の霧多布湿原秋の風景
▲秋の霧多布湿原

霧多布湿原ではカヌーを楽しむこともできます。湿原の中をカヌーでのんびりと進むことで、散策するだけでは見られない景色を見ることができるかもしれません。

北海道浜中町の霧多布湿原カヌー体験
▲霧多布湿原を流れる琵琶瀬川をカヌーで進むことができる

「霧多布岬」や「アゼチの岬」から見る広大な太平洋も見どころのひとつ。特に岬から見る海を覆い隠すような幻想的な霧の風景は必見です。

北海道浜中町のアゼチの岬
▲アゼチの岬から見る、霧が立ち上る風景

数々の動物と出会えるのも、浜中町の特徴。「出会える」というより、「日常に溶け込んでいる」という方が良いかもしれません。中でも鹿は、道路を普通に走っていたり、家のドアを開けると目の前にいたりすることもあるそうです。

そして何と霧多布岬では、国内で唯一野生のラッコを見ることができるのです。いつでも見られるわけではありませんが、気まぐれに顔を出してくれることもあるそう。ラッコに出会えることを期待して、霧多布岬を覗いてみるのも楽しいかもしれません。

北海道浜中町の霧多布岬で見られるラッコ
▲霧多布岬に顔を出すことがあるという野生のラッコ。運試しで覗いてみては?

四季によって姿を変える自然や、たくさんの動物との出会いがある浜中町。大自然がくれる飽きることのない楽しみがあるまちと言えるでしょう。

特徴2:酪農と漁業のまちならではの“食の楽しみ”を満喫!農業移住にも◎

北海道浜中町の昆布漁の様子
▲夏に最盛期を迎える浜中町の昆布漁

浜中町は農業や漁業などの一次産業がさかんです。地域で獲れた新鮮な魚介類、牛乳、肉牛などを使ったさまざまな独自のメニューが展開されています。

食の楽しみがあるというのは、移住先の日常生活を豊かにする上で大切なポイントです。学校給食にも地元食材を使ったメニューがあるため、子どもの食育にもつながるのではないでしょうか。

北海道浜中町のウニ丼
▲町内で採れるウニを使ったウニ丼

北海道浜中町の町内生産している牛乳を使ったソフトクリーム
▲町内生産しているタカナシ4.0牛乳を使ったソフトクリーム

食の楽しみを享受するだけでなく、生産することに興味がある方にも浜中町への移住はおすすめです。JA浜中町が実施している酪農体験プログラムがあるため、移住前に酪農を体験しながら浜中町での農業移住をイメージすることができるのです。

実際にこの体験プログラムを利用してことで農業に興味を持ち、移住して酪農を始めた方も少なくないそうです。農業移住に興味がある方は、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

酪農体験研修 【期間】2~3日から1週間以上など都合の良い期間での体験が可能
【補助】浜中町までの往復交通費の半額(上限あり)

※詳細はこちらをご覧ください:https://www.ja-hamanaka.or.jp/newfarmer/experience/

新規就農者の受け入れがさかんな浜中町では、周囲からサポートを受けられる環境が整っています。移住を機に農業を始めたい方にもおすすめです。

特徴3:移住者を暖かく受け入れる空気・人と人とのつながりがある

田舎暮らしへの憧れはあるけれど、移住した先でうまく溶け込めないのではないかという不安を感じる人も多いでしょう。しかし実際に浜中町に移住した人からは、「優しい人が多い」「新しく移住した人も受け入れてくれる環境がある」という声が多く聞かれます。

以前から新規就農者の受け入れを行ってきた浜中町は、排他的な空気がなく、移住者を優しく受け入れる環境が整っているようです。

そして「人と人との距離が近い」というのも、浜中町ならではの特徴です。近所の人と道で声を掛け合ったり、「おすそわけ文化」が根付いていたりと、都会にいてはなかなかできない暮らしを堪能できます。

浜中町は交通アクセスや買い物環境などを考えると、決して都会のように便利とは言えません。しかしだからこそ、温かな人間関係の中で助け合って暮らせる良さを感じられるのではないでしょうか。

浜中町の暮らしに関する情報

北海道浜中町の酪農風景
▲町内では酪農のまちならではの牛の放牧風景が見られる

ここからは、実際に浜中町に移住する際に気になる、暮らしに関する情報を紹介します。

人口 約5,000人
※参考:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査
病院 一般診療所:1か所
歯科医:2か所
交通 【鉄道】
JR北海道根室本線(花咲線):浜中駅・茶内駅・姉別駅

【バス】
町営バス(4路線)
スクールバス(13路線)

【自動車】
釧路空港まで:約1時間30分
JR釧路駅まで:約1時間
中標津空港まで:約1時間
近隣都市 根室市、別海町、厚岸町

浜中町での生活には車が必須です。鉄道やバスも通っていますが、運行便数が限られているため、基本的には車移動になると思っておいた方が良いです。

生活に欠かせない医療体制を見てみると、町内には1か所の診療所があります。加えて月1、2回の北海道大学病院による外来診療や救急対応、ドクターヘリによる釧路市内の病院への搬送など、もしものときに対応できる医療体制を整備しているそうです。

買い物施設は、山側に1件、海側に2件と町内に3件のスーパーがあります。車で1時間強程度の釧路市にはイオンモールがあるため、大きな買い物は釧路市でするのが良いでしょう。

浜中町内で生活機能のすべてを賄うのは難しいのが現状ですが、住民の方は釧路市をはじめ、近隣市町などをうまく活用しながら生活しているようです。

気候:冬の寒さは厳しいが、積雪は少なめ!

北海道浜中町の霧多布湿原冬の風景
▲浜中町の冬景色

北海道と言えば、冬の寒さが気になる方も多いでしょう。浜中町の気候は次のようになっています。

気候 8月の平均気温:17.3度
1月の平均気温:-5.3度
※参考:気象庁ホームページ(浜中町内の榊町地点を参照)

浜中町は1年を通して涼しい気候ですが、場所によって気候の差があり、海岸部と内陸部では最高気温に5度程の差があります。春から夏にかけては海から霧が発生しやすく、浜中町を象徴する霧がかった風景が良く見られます。

また北海道と言えば雪深いイメージがあるかもしれませんが、浜中町は雪が少なく、積もることもあまりないようです。秋から冬にかけては晴れの日が続くことも多くなっています。

ただし雪があまり降らないとは言え、厳しい寒さであることには変わりません。浜中町を訪れるのにおすすめの季節は昆布漁の盛りの夏の時期ですが、移住することを考えると、冬の時期に訪れて寒さを体感しておくのも良いでしょう。

年代に応じたきめ細かな子育て支援が充実

子育て世代の方が気になるであろう、浜中町の子育て・教育支援情報についても紹介します。

保育施設 常設保育所:2か所
へき地保育所:3か所(認可外保育所)
保育施設・学校 小学校:4校
中学校:4校
高等学校:1校

浜中町には2か所の常設保育所、3か所のへき地保育所があり、一時預かりなども実施しています。仕事をしながら子育てをしている方にとっても安心できる環境なのではないでしょうか。

また小学校から高等学校まで町内にあるのもポイント。小中高校生の通学のためにスクールバスが運行されています。

そして浜中町の特徴として、子育てに関する経済的な補助も含めた支援が充実していることがあげられます。妊娠、出産の時期から高校生になるまで、子どもの成長に合わせたさまざまな支援を受けることができます。

以下に支援の一部をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

産前産後のケア 産前産後の妊産婦に対して、「デイケア型」「宿泊型」「訪問型」のケアを実施
妊産婦健康診査助成事業 妊産婦の方が受診する健康診査の検診料金を一部助成
妊産婦健康診査等通院支援事業 妊婦健康診査への通院にかかる費用を3万円助成
一般不妊治療費助成事業 一般不妊治療を受けている方に、不妊治療に要する治療費の自己負担分を助成(年齢・回数・通算助成期間の制限なし)
出産祝い金 新生児1人につき5万円相当の町内で使える金券を支給
子ども医療費助成事業 高校生までの医療費が完全無料化
子どものインフルエンザ予防接種費助成 高校生までのインフルエンザ予防接種費を一部助成
奨学金制度 高校、高等専門学校、専門学校、短期大学、大学に進学を希望する学生へ奨学金を給付

仕事情報:仕事は漁業、農業、酪農がメイン

浜中町内の正社員の求人数を大手求人サイトで調べると約40件、近隣も含めると約170件の正社員の求人がヒットしました。
※参考:求人情報の一例(町内)
※参考:求人情報の一例(25km圏内)

浜中町では漁業、農業、酪農といった一次産業に従事している人の割合が非常に高いのが特徴です。上記正社員求人もそれに関連した内容が多くなっています。

浜中町への移住をお考えの場合は基本的には一次産業、あるいは加工業などの二次産業の仕事に就くことを考えておいた方が良いでしょう。

就農や漁業を希望する方は、事前に町の窓口やJA、漁業組合に問い合わせをしてみることをおすすめします。

住まい情報:住まいに関する支援あり!新築も視野に入れて住まい探しを

浜中町には空き家バンクがありますが、現在まだ登録がない状況です。町内では賃貸物件に住んでいる人も多いそうなので、まずは賃貸物件に住みながらゆっくりと物件を探してみるのも良いかもしれません。

また、浜中町の土地相場は100坪程度の土地で100万円から250万円とお値打ちです。移住をきっかけに、新築を検討するのも良いですね。

賃貸の敷金礼金への補助や、新築への補助など、住まいに関する支援も充実しています。移住にかかる経済的な負担を少しでも軽減してくれるのは嬉しいポイントと言えるでしょう。

結婚新生活支援事業 新婚生活を送る世帯に居住費や引越費用の補助を行うもの

【支給対象】
・新居の購入費
・新居の家賃、敷金・礼金、共益費、仲介手数料
・引越業者や運送業者に支払った引越費用
・修繕、増築、改築、設備更新等の工事費用

【上限】
夫婦ともに29歳以下であれば60万円、39歳以下であれば30万円
浜中町安心住まいる促進事業 住宅の新築あるいはリフォームを行う方への補助を行うもの

【支給対象】
・住宅の新築
・住宅のリフォーム
・水洗化改造工事

【上限】
・住宅の新築:30万円
・住宅のリフォーム:20万円
・水洗化改造工事:3万円

浜中町に移住した人の声

ここでは、実際に浜中町へ移住した方の声を紹介します。

  • ラッコをみることができたり、牛が放牧されていたりと、広大な自然を日常に感じながら過ごすことができる
  • 空気も澄んでいて、動物もたくさん暮らしているところに魅力を感じる
  • 生活する上での不便さはあるが、人と人との距離が近く、暖かい人間関係がある
  • 近所との付き合いがあり、同世代だけでなく違う世代の人とも関わりながら過ごすことができる。子育てをしていく上でも、地域とのつながりがあることは安心を感じる
  • 新規就農をめざす人へのサポートをしてもらえる環境がある
  • 移住者に対してとても優しいまちだと思う

浜中町の豊かな自然に癒されながら暮らしている方が多いようです。加えて、近所付き合いや移住者への暖かいサポートなど、「人の魅力」を挙げる人が多いのも特徴となっています。

都会では味わうことができない自然や人との密接なつながりが、浜中町で暮らす上での醍醐味だと言えるのではないでしょうか。

浜中町への移住ステップ

ここからは、浜中町への移住を本格的に検討するにあたって必要な情報をお伝えしていきます。

本格移住の前に「お試し住宅」を利用しよう

浜中町のお試し住宅
▲浜中町のお試し住宅の外観

浜中町の魅力は、現地に足を運んで確かめてもらうのが一番です。しかしただ観光をするだけでは、暮らしのイメージがつかないかもしれません。そんなときにピッタリなのが浜中町の「お試し住宅」です。

浜中町のお試し住宅
▲お試し住宅はもちろんキッチン完備

浜中町のお試し住宅は平屋の3LDKの物件で、2週間から3か月間滞在することができます。もちろん冷蔵庫や暖房器具など、生活に必要な設備は完備。長く滞在することで、よりリアルに移住後の暮らしをイメージできます。

浜中町のお試し住宅
▲お試し住宅のお風呂

交通の状況や買い物といった生活に欠かせない部分を確かめるのはもちろん、霧多布湿原を散策してみたり、地域の人と交流してみたり、浜中町での暮らしを楽しみながら滞在することをおすすめします。

浜中町への移住に関するお問い合わせ

浜中町の移住相談窓口(企画財政課)

担当課 浜中町 企画財政課
住所 〒088-1592
北海道厚岸郡浜中町湯沸445番地
電話番号 0153-62-2111(代表)
対応時間 08:30~17:15
公式サイト https://www.townhamanaka.jp/index.html