五島市移住のすすめ!自然豊かな島暮らしと都市部へのアクセスを両立
この記事では移住を考えている人に向けて、長崎県五島市(ごとうし)の特徴や仕事、住まいといった、暮らしや移住に役立つ情報をご紹介します。
長崎県五島市(ごとうし)は長崎県の西部、五島列島の南西部に位置し、長崎港から西に約100kmの距離にあります。10の有人島と53の無人島により構成されており、豊かな自然と独特の島文化が魅力です。
今回は、五島市役所地域協働課の平野さんに、地域の魅力や暮らし、移住支援などについて詳しくお話を伺いました。
長崎県五島市の暮らしの魅力:3つの特徴
五島市は、直近5年間で1,000人を超える移住者を受け入れています。そのうち約75%が30代以下の若者で占められているとのことです。若い世代にとって特に魅力的な移住先であることがわかります。
五島市での暮らしは、次のような方に適していると言えるでしょう。
- 島暮らしに憧れているが、本土とのアクセスが気になる方
- 田舎暮らしをしたいが、極端な不便さは避けたい方
- 移住先での地域コミュニティーへの溶け込みに不安がある方
これらの方々に五島市が適している理由を、この地域に見られる3つの特徴から詳しく解説していきます。
特徴1:島暮らしと都市部へのアクセスの両立
▲日本一美しい砂浜と言われる高浜海水浴場
五島市には「日本一美しい砂浜」と言われる高浜海水浴場をはじめ、透明度の高い美しいビーチがたくさんあります。夏はスタンドアップパドルボード(SUP)、カヤックなどのマリンスポーツも楽しめます。
(※)スタンドアップパドルボード:サーフボードより少し大きめの板の上に立ち、パドルを漕ぎながら波乗りしたり、海の上を散歩する水上アクティビティ
▲遠浅の砂浜はプライベートビーチのよう
五島市の一番大きな島・福江島(ふくえじま)には空港があり、長崎空港と福岡空港への直行便が出ています。長崎空港まで約30分、福岡空港まで約40分で到着できます。羽田空港までは福岡経由で約3時間です。また、福江港からは、長崎港や博多港行きのフェリーや高速船も運航しています。
▲福江空港(五島つばき空港)から長崎空港まで約30分で気軽に行ける
このように、五島市は島でありながらも、都市部とのアクセスが良好なまちです。仕事や旅行で都市部へ行く際も便利に移動できます。
特徴2:そこそこ便利で“ちょうどいい”
▲五島市の福江港と久賀島を結ぶ「シーガル」。買い物や通院などで利用されている
五島市は都市部とのアクセスがよいだけでなく、市内の生活環境も充実しています。大型スーパーマーケット、コンビニ、ドラッグストア、医療機関、金融機関などが揃っているため、日常的な買い物や用事で都市部に行く必要はありません。さらに、市のほぼ全域で光インターネットが利用可能で、市内各地にコワーキングスペースも設置されているため、リモートワークにも適した環境が整っています。
また、市内の島々は航路で結ばれており、住民は買い物や通院などで日常的にこれらの船を利用しています。
このように、五島市は豊かな自然と都市的な利便性が共存する、バランスの取れたまちと言えます。「自然に囲まれた生活を送りたいが、ある程度の便利さも欲しい」という一見相反する要望も、五島市では叶えられそうです
特徴3:開放的で温かい地域コミュニティ
▲五島市ではお裾分け文化が根付いている
五島市に移住した人たちが共通して言うのが、「地域の人の気質がいい」ということです。個人差はありますが、話し方からも人のよさが伝わってくるそうです。
地域の人々は概ね開放的で、移住者が居酒屋で地元の人に話しかけられて人脈が広がることもよくあるそうです。これは、遣唐使の時代から外部の人を受け入れてきた歴史が背景にあるのかもしれません。
また、この5年間で1,000人を超える移住者を受け入れているため、移住者同士がインターネット上の交流サイトでの情報発信をきっかけに、自然につながる環境もできているそうです。
▲荒川温泉の足湯
移住先でなじめるか心配な人は、近所の方々に挨拶したり、祭りなどの地域行事に積極的に参加したりすることで、自然と地域に溶け込めるでしょう。
▲奇祭ヘトマト。大草履に担ぎ上げられ、ワッショイワッショイと持ち上げられる女性
五島市での生活:暮らしに役立つ具体的情報
ここからは、五島市の暮らしに関する情報をご紹介します。
気候 | 8月平均気温:28.0℃(2023年) 1月平均気温:9.0℃(2024年) ※参考:気象庁 |
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人口 | 人口:34,041人 世帯:19,392世帯 (令和6年4月時点) |
病院 | 病院・クリニック:44件 歯科:14件 |
学校 | 保育施設:19所 小学校:12校 中学校:9校 高等学校:5校 (令和6年6月時点) |
交通 | 【空港】 福江空港(五島つばき空港) (長崎空港まで30分、福岡空港まで40分、羽田空港までは福岡で乗り継いで約3時間) 【港】 福江港 【電車】 なし 【路線バス】 五島バス 丸濱産業 商店街巡回バス(コミュニティバス) |
近隣都市 | 長崎市 |
五島市には、大型スーパー、コンビニ、ドラッグストアがあり、日常生活に必要な買い物はほぼ問題ありません。ただし、移動の利便性を考えると車があると便利です。
子供の遊び場としては、「魚津ヶ崎公園(ぎょうがさきこうえん)」がおすすめです。この公園からは周囲の島々と海を一望でき、特に水平線に沈む夕日の景色は絶景です。併設のキャンプ場にはバンガローもあり、自然を存分に楽しめる環境が整っています。
鬼岳(おにだけ)は、トレッキングを楽しめる人気のスポットです。特に尾根沿いのコースは気持ちの良い散策ルートとなっており、家族連れの利用も多いです。また、季節ごとに様々な草原植物が花を咲かせるため、植物愛好家にもおすすめの場所です。
「五島港公園」は福江港ターミナルに隣接する静かな公園で、ゆったりとしたピクニックに適しています。また、「五島列島夕やけマラソン大会」のスタート地点としても知られています。
五島市の特産品としては、ふるさと納税の返礼品でも人気の新鮮な魚介類に加え、「五島牛」「五島豚」「五島地鶏」といった高品質なブランド肉があります。また、「五島ルビー」と呼ばれる特産トマトは、一般的なトマトの約1.6倍の糖度(8度以上)を持つ甘くてみずみずしい逸品です。
さらに、五島市のお米は国際コンクールで優勝した実績があるほど高品質です。また、さつまいもを使った郷土菓子「かんころ餅」は、NHK連続テレビ小説でも取り上げられ、広く知られるようになりました。このように、豊かな食材に恵まれた五島市への移住は、食生活の充実にもつながるでしょう。
【子育て】妊娠から子育てまで充実のサポート体制
五島市では、子育て支援や教育に力を入れています。妊娠・出産から子育てまで、切れ目のない支援を行っています。子育て世代包括支援センター「ネウボラGOTO」では、助産師や保健師が、一人ひとりの状況に応じた支援プランを作成し、さまざまなサポートを提供しています。
※「ネウボラ」とは、フィンランド語で「アドバイスの場」を意味する言葉
移住先での出産や子育ては不安なものですが、助産師や保健師が相談に応じてくれる窓口があるのは心強いでしょう。
給付金制度も充実しており、子育て世帯を経済的にも支援しています。以下に、主な制度をご紹介します。
出産応援給付金・子育て応援給付金 | 出産応援給付金は妊婦1人あたり5万円 子育て応援給付金は子ども1人あたり5万円 |
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子どもの医療費一部助成 | 0〜18歳の医療費を助成 |
子育て世帯引越し補助 | 五島市に転入した子育て世帯の引越しにかかる費用を助成(上限15万円) |
多子世帯保育料軽減 | 第2子の保育料を半額(第1子と保育施設同時在園の期間、第2子の保育料は無料)、第3子以降の保育料は無料 |
公式:五島市まるごとう「出産・子育て応援給付金支給事業について」
公式:住んでみらんかな 五島やけんよか!「五島列島・五島市-子育て支援と特徴」
教育面での特色として、「しま留学制度」があります。世界文化遺産がある島(久賀島・奈留島)で「しま親(受け入れ保護者)」の協力を得て、小中学生の受け入れを実施しています。
生徒数が少なく、しま親や先生、地域の人々と密接に関わる環境の中で、不登校だった子供が元気に通学できるようになった例もあります。大人たちに見守られながら、豊かな自然の中でのびのびと暮らすことは、子どもにとって貴重な経験となるでしょう。
【仕事】多様な業種と豊富な求人:五島市の雇用事情
大手求人情報サイトで五島市の求人を調べたところ、約560件ヒットしました。(2024年1月時点)
※求人情報の一例
「離島には仕事がないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、2021年3月以降、五島市の有効求人倍率は全国平均を上回っている状況です(※)。五島市には2,000以上の事業所があり、業種は農林水産業をはじめ、医療・福祉業、製造業、宿泊・飲食業、情報通信業など多岐にわたっています。これは、五島市の産業が多様化していることを示しています。
(※)住んでみらんかな 五島やけんよか!「五島列島・五島市ってどんなところ?」より
また、五島市には、五島市で働きたい人と企業をつなぐ「五島市地域づくり事業協同組合」があります。この組合に入社すると、組合の正社員として在籍しながら、五島市の企業に派遣されて働くことができます。
この組合では、季節ごとに繁忙期を迎える農業、食品加工業などの仕事を組み合わせて通年勤務するマルチワーク型か、さまざまな仕事を経験したあとで五島市内の企業への就職を目指すインターン型を選択できます。新たな職種にチャレンジしたい人や、多様な経験を積みたい人にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
【住まい】空き家バンク活用で理想の住まい探し
大手住まい情報サイトで五島市の賃貸物件を調べると、数が限られているようです。地元の不動産会社約15社に直接電話や訪問で確認するのがおすすめです。また、賃貸物件はマンションやアパートよりも戸建が多い傾向にあります。(2024年1月時点)
五島市では空き家バンクが充実しています。「住みたい田舎ベストランキング(※)」の「成約件数ランキング」で6位に入るほど、物件数が豊富です。ただし、リフォームが必要な物件が多いため、「空き家バンクリフォーム助成」の活用をお勧めします。
(※)宝島社発行の月刊誌「田舎暮らしの本」2023年2月号
五島市の主な住まいに関する助成制度をご紹介します。
空き家バンク 改修・家財処分補助金 |
<空き家の改修> <空き家の家財処分> |
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結婚新生活支援事業 | 新婚世帯の住宅取得費用、賃貸費用、引越費用として30万円を助成。 ※申請日時点で夫婦ともに29歳以下の場合は60万円。 |
3世代で同居・近居促進事業 | 3世代での同居・近居のための住宅改修工事、中古住宅取得費用を助成(上限40万円)。申請者が子育て応援団体所属の場合、4万円上乗せ。 |
公式:住んでみらんかな 五島やけんよか!「住まいの補助金・助成金」
五島市移住者の声:島暮らしの実際と感想
次に、五島市に移住した方々の感想をご紹介します。
- 島での生活は不便すぎるのではないかと不安でしたが、生活インフラが整っていて予想以上に住みやすいです。
- 空港と港があり、交通アクセスが意外と便利です。大型スーパーも充実しており、日常の買い物にも困りません。
- 自然豊かな「ザ・田舎暮らし」ができる地区もあれば、都市的な便利な地区もあるため、自分の希望に合わせて住む場所を選べます。
- 「田舎なので閉鎖的なのでは」と心配していましたが、実際は道を歩くと「どこから来たとね」と地元の方が気さくに話しかけてくれたりと、開放的な雰囲気です。
交通アクセスや生活の利便性が移住者の方々に好評のようです。また、地域の人々の移住者への温かい眼差しも、新しい生活を始める上で心強いポイントとなっているようですね。
五島市移住サポート:活用したい窓口と支援制度
▲移住相談は東京、大阪、福岡などで開催している
五島市への移住を希望する方は、まずは移住相談会に参加することをおすすめします。東京、大阪、福岡などで対面で開催されているほか、オンラインでも移住セミナーや個別相談を実施しています。
移住相談会で五島市での暮らしについて理解が深まったら、次のステップとして、実際に五島市で短期間過ごしてみるのはいかがでしょうか。現地で生活を体験することで、移住後の具体的なイメージがつかめるでしょう。
ただし、下見の時期を選ぶ際は注意が必要です。夏季、年末年始、ゴールデンウィークは観光客が多く、レンタカーの予約が取りにくいため、避けた方が良いでしょう。
▲短期滞在住宅
五島市では「短期滞在住宅」を無料で利用できます。利用期間は1〜3か月で、住まいや仕事探しの拠点として活用できます。全15戸ある「短期滞在住宅」は非常に人気が高く、半年先まで予約で埋まっているそうです。利用を検討される方は、早めの予約をおすすめします。
※利用条件あり。詳しくはお問い合わせください。
▲短期滞在住宅のダイニングキッチン
10月下旬から11月は、天候が良く最も美しい景色が楽しめる可能性が高いので、下見にはこの時期がおすすめです!
五島市移住相談窓口:詳細な情報とコンタクト先
移住相談窓口 | 五島市役所 地域振興部 地域協働課 移住定住促進班 |
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住所 | 〒853-8501 長崎県五島市福江町1番1号 |
電話番号 | 0959-76-3070 |
公式サイト | 住んでみらんかな 五島やけんよか!(五島市移住定住ポータルサイト) |