現代アートの島旅デート!「アートベース百島」で体験する非日常空間【広島県尾道市】

この記事では、広島県尾道市の離島・百島(ももしま)のアートセンター「アートベース百島」を中心に、のんびりと現代アートや自然に触れることができる離島デートプランをご紹介します。

アートベース百島は、尾道市から高速船で約30分で行ける瀬戸内海の小さな離島・百島にあります。百島の廃校を再生し、地域とアーティストをつなぐアートセンターに変身させました。この廃校には、アートベース百島の常設展示が行われています。

さらに、旧市役所を芸術の情報発信拠点に、古い映画館を常設展示会場に再生するなど、島内各所に芸術発表の場を設けています。これにより、離島全体がアートの拠点となっているのです。

尾道と百島を結ぶフェリー
▲尾道と百島を結ぶフェリーもなんだかアートな雰囲気

百島は、穏やかな瀬戸内海の美しさに囲まれ、人間よりも動物のほうが多いと言われるほど自然豊かな場所です。夏にはカヤックやSUPなどのアウトドアスポーツも楽しめるため、アクティブなカップルにも最適です。

アートと自然の両方を満喫できる、百島ならではのデートプランをご紹介します。

こんなカップルにおすすめ!
向いている年代:20歳〜49歳
おすすめカップル:アートに興味があるカップル、離島でゆっくりしたいカップル
どんなデート?:離島で現代アートを楽しむデート

概要:アートと自然が融合する離島「百島」でのデートプラン

百島は広さがおよそ3平方キロメートルの離島です。アートベース百島による島内のアート展示や、豊かな自然を楽しむのがこの島でのおすすめの過ごし方です。

アートベース百島は完全予約制のランチ付きツアー(約3時間)で回ることになっています。訪島が決まったら、必ず事前に予約の電話をしておきましょう。

百島では夏季にカヤックなどのアウトドアスポーツが楽しめます。アウトドア体験を希望する場合は、1泊2日の滞在がおすすめです。より充実した思い出作りができるでしょう。

今回のデートのメイン
アートベース百島
周辺のデートスポット
・百島八幡神社
・百島カヤッククラブ
・Rakuoli
・百島キャンプサイト sorezore
・隠れ家リゾートCiela
ランチにおすすめのお店
・アートベース百島内のカフェ

百島は、島全体がアート作品のような雰囲気で、アートと自然が調和した独特の魅力を持つ島です。アートベース百島をメインに回る日帰りデートも素敵ですが、アートベース百島で準備中の宿泊施設や、島内の隠れ家リゾートに泊まって、小さな離島の魅力を存分に楽しむのもおすすめです。

アウトドアアクティビティを楽しんだり、美しい夕焼けを眺めたり、瀬戸内の清々しい空気を胸いっぱいに吸い込めば、心が癒されるカップルのプチ旅行になること間違いありません。

それでは、まずはデートプランの中心である「アートベース百島」について詳しくご紹介していきましょう。

アートの島を彩る「アートベース百島」の魅力

アートベース百島は、広島県尾道市の離島・百島にあるアートセンターです。2012年の設立以来、展覧会やワークショップなど多くのイベントが開催され、地域住民とクリエイターが協力して芸術文化の発展に貢献しています。

現代美術作家の柳幸典氏が、旧百島中学校舎を再活用してアートの拠点に生まれ変わらせたのがアートベース百島です。現代アートの展示場所は、旧百島中学校や老朽化した旧映画館など、島内に点在しています。歴史ある建物をアーティストの発表の場として活用し、島全体でアートを通じた地域活性化を図っているのが特徴です。

今回は、アートベース百島のツアー担当・池永さんに、施設の楽しみ方について詳しく話を伺いました。

柳幸典の作品「ユーラシア 2001」の前で説明する池永氏
▲柳幸典氏の作品「ユーラシア 2001」の前でアートベース百島について説明するツアー担当の池永さん。

廃校や古民家を再生!島全体がアートのキャンバスに

編集部

離島に遊びに来ること自体がアート鑑賞というのが面白いと思いました。現代美術作家の柳幸典さんがディレクターを務めるアートベース百島とはどんな施設か教えていただけますか。

池永さん

アートベース百島は閉校となった百島中学校の校舎、映画館や空き家となっていた日本家屋を再生し、再活用した現代美術のアートセンターで、著名なアーティストの芸術作品を展示しています。

普段生活している場所から離れて、海に囲まれた島の中でゆっくりと芸術作品を鑑賞する時間を過ごしてほしいと思っています。

アートベース百島の拠点である旧百島中学校の校舎
▲アートベース百島は、閉校となった百島中学校の校舎を再生・利用しています

編集部

池永さんが思うアートベース百島の魅力はなんでしょうか。

池永さん

アートベース百島は、通常の美術館のように管理された空調ではなく、島の昔の建物を使って展示しているので、四季の自然や気温、光の変化によって作品の印象が変わります

また美術館ではなかなか見ることのできない作品が常設展示されているのも面白いと思います。

百島は観光地のようなにぎやかさもないので、観光とは切り離された「芸術のためにある施設」として魅力を感じてもらえるはずです。

編集部

確かに島の静かな雰囲気は、アートを鑑賞するのに絶好の場所ですね。ニューヨーク現代美術館をはじめとした世界有数の現代美術館に収蔵されている作家の作品がこの島にあるというのも素晴らしいです。

このアートベース百島は完全予約制の「アートベース観覧ツアー(ランチ付き)3,500円」で回ることができるそうですね。池永さんもツアーをご担当されているとか。訪れる前に予約を忘れないようにしなければと思いました。

※ツアー内容、ランチメニューは、時期によって変動します。

柳幸典の作品「バンザイ・コーナー」で説明する池永さん
▲柳幸典の作品「バンザイ・コーナー」です。鏡をうまく生かしています

心に残る「ヒノマル・イルミネーション」体験

編集部

池永さんが特に好きな、おすすめの展示を教えていただけますでしょうか。

池永さん

私が気に入っているのは、柳幸典さんの「ヒノマル・イルミネーション」という作品です。昔の映画館の姿が残った「日章館」という空間に展示されており、100円を投入するとネオン管が光り出します

映画館を改装した日章館の外観
▲昔ながらの映画館がまだ残されていたことに驚かされます。「ヒノマル・イルミネーション」を常設展示中

爛々と強い光が目に映り、それだけでも見応えがあるのですが、作品の光が消えると、急に周囲が静かで暗く感じられ、視覚的な刺激とは対照的に心に切なさが残るところが魅力的です

アートベース百島で見られる「ヒノマル・イルミネーション」
▲昔の映画館の内部に展示された柳幸典の「ヒノマル・イルミネーション」は人気の作品です。

編集部

「ヒノマル・イルミネーション」の展示の様子は画像で拝見しましたが、ネオン管が光り出し、光が止まった瞬間に味わえる切なさは画像からは伝わりませんね。その場で直接体験できる、心に響くアートの魅力が伝わってきます。実際に見てみたいと思いました。

カップルの記念日に最適!結婚式も可能なアートベース百島

編集部

カップルでの訪問も多いのでしょうか?

池永さん

カップルでいらっしゃる方はかなり多いですよ。先日も、百島で初デートをしたというカップルの結婚式が行われました。式場はアートベースで管理している施設「旧百島支所」で、登録有形文化財として申請中の歴史的な建物です。

編集部

初デートの場所がアートベース百島だというのも素敵ですね。写真撮影ができる場所や、カップルに人気の場所があればお聞きしたいです。

池永さん

全ての施設の作品は自由に撮影可能です。特に原口典之さんの「オイル・プール・シリーズ」は人気ですよ。また、アートベース3階から島中を見渡せるスポットがあり、そこから見る景色はおすすめです。ぜひ見ていただきたいと思います。

原口典之の作品「オイル・プールシリーズ」
▲見ているだけで吸い込まれそうな、原口典之の作品「オイル・プール シリーズ」

2022年でアートベース百島は10周年を迎えますので、記念イベントを企画中です。こちらもぜひ楽しみにしていただきたいと思います。皆様も思い出を作りに遊びに来てください。※インタビュー時のイベントです。

編集部

アートベース百島からカップルで見る島の全景は素敵そうですね。島の自然を体感できそうです。10周年のイベントも楽しみですね。アートベース百島のさらなる発展が期待できそうです。

アートに囲まれて過ごす!ランチと宿泊プラン

編集部

アートベース百島ではツアーにランチがセットされていますが、どんなものか教えていただけますか。

池永さん

ランチは館内にあるカフェで提供しております。季節の食材を使ったランチは食べ応えがありますよ。また、カフェではTシャツやマグカップなどアートベースのオリジナルグッズも販売しています。

アートベース百島のツアーで食べられるランチ
▲アートベース百島のツアーで食べられるランチは彩りも素敵!

編集部

素敵ですね。見た作品の感想を2人で話しながらのランチは楽しそうです。ここに来られる方は、どんなタイムスケジュールで行動されることが多いのでしょうか。

池永さん

ここは本土と橋で繋がっていない完全な離島なので海に囲まれています。そのため午前中に船で百島へ訪れてアートベースのカフェで季節のランチを食べて、午後も島をのんびり歩きながら自然とアートを鑑賞していらっしゃいますよ。

編集部

早めに訪れてゆったり百島を満喫する方が多いのですね。アートベース百島では宿泊施設も準備されているという情報をお聞きしましたが、こちらについてもぜひ教えてください。

池永さん

アートベース百島ではアート作品と泊まれる宿泊施設「乙1731 GOEMON HOUSE」をオープン予定です。

アートベース百島の宿泊施設「乙1731 GOEMON HOUSE」の外観
▲アートベース百島の宿泊施設「乙1731 GOEMON HOUSE」の外観です。のれんが素敵

昭和時代に建てられた日本家屋と一体化したアート作品と一晩を過ごし、薪で炊いた特大の五右衛門風呂に入浴できます

宿泊施設にある大きな五右衛門風呂
▲「乙1731 GOEMON HOUSE」にある五右衛門風呂。その大きさにびっくりします。

榎忠さんの作品「LSDF 020」は、鉄のスクラップを再利用した大砲のオブジェと約3トンの薬莢が埋め尽くされたダイナミックな展示になっていて必見です。

榎忠さんの作品「LSDF 020」
▲「乙1731 GOEMON HOUSE」の中に常設展示している榎忠の作品「LSDF 020」。すごい数の薬莢に圧倒される

榎忠さんの作品「LSDF 020」に散りばめられた薬莢の画像

お二人の特別な体験としてぜひ宿泊していただきたいです。

「乙1731 GOEMON HOUSE」の夜の雰囲気
▲「乙1731 GOEMON HOUSE」の夜の雰囲気も素敵ですね。さすがアートセンターの宿泊施設です。

編集部

大きな五右衛門風呂に入れるのも楽しそうですし、3トンもの薬莢を使ったアートは圧巻でしょうね!アートの近くで眠れるなんて、とても貴重な体験ができるデートになりそうです。現代アートをこんなにも身近に感じられる場所は珍しいかもしれませんね。

来場者の声:アートベース百島の魅力と感想

編集部

アートベース百島に来た方は、どんな感想を残していかれますか。

池永さん

「コンビニもない場所に初めて来た」という言葉は印象的でした。昔からある建物や環境を再活用することで、多くの方が新鮮な気持ちを抱かれるようです。古い建築物や文化を保存することの重要性を考える良い機会になっているのではないでしょうか。

アートベース百島のツアーを担当している池永さん
▲今回、アートベース百島の説明をしてくださった、ツアーご担当の池永さん

編集部

日常生活から離れた自然豊かな離島で、レトロな建物がアートとして再生されているからこそ、古いものの価値がより際立って感じられるのかもしれませんね。

島旅×アート鑑賞の新しい楽しみ方に注目の声

編集部でも独自にアートベース百島のネットでの評判を調査しました。多くの訪問者から好意的な感想が寄せられています。

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景色が素晴らしく、心が癒されました。
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島全体が一つの大きな芸術作品のような雰囲気で、とても印象的でした。
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ランチの味と質が予想以上に素晴らしく、島の魅力をさらに引き立てていました。

これらの感想から、訪れた方々がそれぞれの視点でこの島のアートを深く楽しまれていることがわかります。日常から離れ、自然とアートに囲まれた島での時間は、特別な体験を提供しているようです。

柳幸典の作品「諭吉 KV644955H」の前に立つ池永さん
▲柳幸典の作品「諭吉 KV644955H」。日本の紙幣をモチーフにした、ユーモアと社会性を兼ね備えた斬新な作品です。

アートベース百島の基本情報

住所 〒722-0061
広島県尾道市百島町1440
アクセス 【船】
尾道駅(尾道ポートターミナル)より高速艇またはフェリーで約30~40分→福田港(百島)下船
開館時間 12:30からツアー開始
※ツアーのみの提供
※完全予約制
休館日 火曜日~金曜日
入場料 アートベース観覧ツアー(ランチ付き)¥3,500
駐車場 アートベース百島の目の前のグラウンドに駐車可能
レンタサイクル アートベース百島でレンタサイクルが利用可能
※5台限定のため、他の利用者がいる場合は貸出できないことがあります。詳細は下記メールアドレスにてお問い合わせください。
info@artbasemomoshima.jp
公式サイト https://artbasemomoshima.jp/

※最新の情報は公式ホームページ等でご確認ください。
※記事中の金額はすべて税込表示です。
※記載されている金額はインタビュー時の価格です。

百島で楽しむアート以外の魅力的なデートスポット

アートベース百島の3時間ほどの観覧ツアーの前後におすすめのスポットをご紹介します。百島八幡神社の伝統行事、百島カヤッククラブでのアウトドア体験、美しい海を眺められるキャンプサイトやグランピング施設など、百島の多彩な魅力を存分に楽しめるスポットをご案内します。

おすすめのデートスポット

伝統行事を楽しむ「百島八幡神社」の御弓神事

百島高台に18社合祀の土産神(うぶすながみ)として鎮座する神社です。毎年1月に行われる「御弓神事」という弓を射る神事や、8月の「百島納涼祭」、10月の「秋の大祭り」など、イベント開催時に訪島するならぜひ行ってみたい神社です。

公式URL:尾道観光協会おのなび

瀬戸内海を満喫!「百島カヤッククラブ」のアクティビティ

百島カヤッククラブのFacebookに掲載されているカヤックの写真
▲カヤックから見られるきれいな夕焼け。ぜひ体験してみたいですね(出典:百島カヤッククラブFacebook

未経験者や子どもでもカヤック体験ができる百島カヤッククラブ‟しまカヤ”。陸から海を眺めるのと違って、波の穏やかな瀬戸内海に浮かびながら夕焼けを眺めることができます。

サンセットクルーズや海ほたるナイトクルーズ、百島周遊クルージングもできるということで、時間に余裕があればぜひ参加してみてはいかがでしょう。

公式URL:百島カヤッククラブ

初心者も安心!「Rakuoli」でSUP体験

スタンド アップパドルボード(SUP)は、大きめのボードに立って、パドルを使って漕ぎながら進む新しいマリンアクティビティです。初心者でも比較的簡単に楽しむことができ、百島近くの無人島までのアイランドホッピングを体験できる可能性があります。穏やかな海面を滑るように進む感覚は、恋人同士で楽しむのにぴったりのアクティビティかもしれません。

公式URL:百島カヤッククラブ

1組限定キャンプサイト「百島キャンプサイト sorezore」

2020年にオープンした1組限定のキャンプサイト「sorezore」は、最大10人程度での利用が可能です。施設のコンセプトである"それぞれの楽しみ方"に合わせて、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

キャンプに必要な備品が完備されているほか、コワーキングスペースも用意されています。また、このキャンプサイトを拠点として、カヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)、陶芸体験などのアクティビティを楽しむこともできます。

公式URL:百島キャンプサイト sorezore

快適な島泊を「隠れ家リゾートCiela」でグランピング体験

隠れ家リゾートCielaのキッチンからの景色
▲隠れ家リゾートCielaのキッチンからの眺めは、素晴らしく非日常的な雰囲気を醸し出しています。

グランピング施設「隠れ家リゾートCiela」では、釣り具、シネマセット、バーベキューセットなど、多彩なアクティビティを楽しむためのツールが用意されています。海ほたるや夜光虫が見られる季節には、砂浜が幻想的な光景に包まれます。波の音を聴きながら眠れる環境は、恋人同士にとって特別なロマンチックな体験となるでしょう。清潔で整った建物内には、調理に必要な設備が整ったキッチンも完備されており、快適な滞在を楽しむことができます。

公式サイト:隠れ家リゾートCiela

まとめ:島全体がアート!アートベース百島と離島の自然を味わうデート

現代アートの拠点「アートベース百島」は百島の一番の観光スポットです。せっかく訪れるなら、アウトドア活動を楽しんだり、瀬戸内海を一望できる宿泊施設に泊まって穏やかな海を堪能したりして、百島の魅力を存分に味わいましょう。

約500人が生活するこの小さな離島で、現代アートを鑑賞しながら穏やかなひとときを過ごせます。自然に囲まれた環境で、身も心もリラックスしてゆっくりとした休日デートを楽しみ、日ごろの疲れをすっきり癒すことができるでしょう。